「クモの糸」は、鋼鉄より高い引っ張り強度、靱性、ヤング率を持っており、最高強度の天然物質であるとされる。イタリアのトレント大学の研究チームは、クモの糸とグラフェンやカーボンナノチューブ(CNT)を組み合わせたらどうなるか試すために、グラフェンやCNTを分散させた水を生きているクモに吹きかけるという実験を行なった。

実験に使用されたクモ

 研究チームの報告によると、グラフェンまたはCNTの分散液を吹きかけられたクモが作る糸は、いずれの場合も強度が大幅に向上したという。特に強度が増したのはCNT分散液を吹き付けたときで、普通のクモの糸の約3.5倍の強度となった。ヤング率は最大47.8GPa、靱性は最大2.1GPaに達した。この値は、これまで知られている最高強度の繊維を上回るものであるという。

 クモの糸の表面にグラフェンやCNTがコーティングされただけでこれだけの強度が出るとは考えにくいことから、ナノ炭素材料をクモが体内に取り込んで、クモの糸の中にらせん状に練り込んだのではないかとの仮説が提示されている。しかし、詳しいメカニズムはよく分かっていない。なお、実験に使用された15匹のクモのうち、4匹が実験の途中で死んだという。


arXiv.orgに発表された論文