ケンブリッジ大学と中国・江南大学の共同研究チームは、導電性コットンを利用したウェアラブルエレクトロニクス向けのモーションセンサーを開発した。グラフェンベースのインクをコットンに染み込ませた導電性テキスタイルデバイスとなっている。2016年10月19日付けの Carbon に論文が掲載されている。

導電性コットンを用いたウェアラブルモーションセンサー(出所:ケンブリッジ大学)

 グラフェンを化学的に修飾することで非修飾のグラフェンと比べてコットンに付着しやすくした。コットンの繊維上にグラフェンインクを載せてから熱処理することで導電性を向上させた。グラフェンインクがコットンに付着する仕組みは、コットンを色素で染める仕組みと類似しており、洗濯した後も繊維の導電性は保たれる。

 作製されたモーションセンサーは、動きによって生じるコットンの歪みを高感度に検出するもので、500回の繰り返しサイクルで動きのセンシングができることが確認されている。通常の洗濯機で10回以上洗ってもセンサー動作が可能であるという。

導電性コットンの電子顕微鏡像(出所:ケンブリッジ大学)

 銀ナノインクなど他の導電性インクと比べると、グラフェンインクは安価であり、スマートテキスタイルデバイス向けには有望な材料であると言える。環境負荷も低いとしている。

 ウェアラブルセンサーの開発は世界中で活発に進められているが、その多くは硬質な電子部品をプラスチックフィルムや布地のようなフレキシブル材料の上に実装したものである。これらは皮膚との親和性が低く、洗うと壊れたり、着心地が良くないといった問題がある。今回のように布地そのものをデバイス化することで、生体親和性が高いウェアラブルエレクトロニクスが実現できると期待できる。
 
発表試料