ブラウン大学の研究チームは、グラフェンをテンプレートとして利用することで、様々なテクスチャーを有する酸化金属薄膜のナノ構造を作製する技術を開発した。電池の電極材料や光触媒材料としての応用が期待されている。2016年11月30日付けの ACS Nano に論文が掲載されている。

グラフェンテンプレートを用いて作製した酸化金属シートのテクスチャー構造の例(出所:ブラウン大学)

 同研究チームは、以前の研究において、酸化グラフェンシートに「しわしわ」のテクスチャーをきめ細かく調整してつける手法を開発。このテクスチャーによって撥水性や導電性などのグラフェン特性が向上することを確認していた。

 酸化金属シートなどグラフェン以外の材料についても、同様のテクスチャーをつけることによる特性向上効果が期待できる。しかし、いろいろな方向に何度も圧縮してテクスチャーをつけるというグラフェンに適用した方法は、酸化金属シートに対しては使えない。圧縮によって酸化金属が割れてしまうためである。

 そこで研究チームは、テクスチャーをつけたグラフェンをテンプレートとして利用する方法を考えた。グラフェンにしわしわテクスチャーをつけるには、ポリマー基板上にグラフェンを成膜し、熱を加える。熱によってポリマー基板が収縮する際に、基板表面のグラフェンが様々な方向に機械的に圧縮され、しわしわのテクスチャー構造が形成される。その後、基板を除去することでフリースタンディング状態のしわしわグラフェンを得る。テクスチャーの形状は基板の収縮方向を操作することによって制御できる。

 こうして形成したグラフェンのテクスチャーを酸化金属シートに転写するため、正に帯電した金属イオンを含む水系溶媒中にグラフェンを浸す。グラフェンは負に帯電しているためグラフェンの層間に金属イオンが引き込まれる。この過程で、グラフェンのテクスチャーを反映した金属シートがグラフェン層間に形成される。その後、酸化処理によってグラフェンを除去すると、テクスチャーを有する酸化金属シートが単独で得られる。

 研究チームはこの方法で、亜鉛、アルミニウム、マンガン、銅などの酸化物シートを作製している。テクスチャーをつけた酸化マンガンシートでは、平坦なシートに比べて電気容量が4倍向上することが確認された。また、酸化亜鉛シートの場合、テクチャーをつけることで平坦シートに比べて光触媒性能が4倍向上したという。

 酸化金属以外にも、通常は二次元状に形成することが困難とされる様々な材料を、グラフェン層間閉じ込めの手法によって二次元薄膜化できる可能性がある。研究チームでは今後、同手法を用いた新規二次元材料の開発に取り組んでいくとしている。
 
発表資料