イリノイ大学シカゴ校(UIC)の研究チームは、グラフェンを利用して、正常な細胞中にある高活性な癌細胞を1個から識別する技術を開発した。癌の早期発見に寄与する診断ツールとしての応用が期待される。2016年11月14日付けの ACS Applied Materials & Interfaces に論文が掲載されている。

グラフェンとの接触界面にある正常細胞と癌細胞(出所:UIC)

 細胞とグラフェンの接触界面では電荷分布が変化する。電荷分布の変化は原子の振動エネルギーを変動させるので、この変動をラマン分光法で検出することができる。高活性な癌細胞の表面は正常細胞と比べてより高い負の電荷を帯びており、より多くのプロトンを放出する。このためグラフェン格子の原子振動を調べることで、接触界面にあるのが癌細胞なのか正常細胞なのかを見分けることができるという。

 ラマン分光法によるマッピングでは、300nmの分解能でグラフェン格子における原子振動の変化を捉えることができるため、細胞1個ごとの活性の高さを評価することが可能である。

 論文は、培養したヒトの脳細胞に注目し、正常な星状膠細胞と癌化細胞(悪性脳腫瘍の多形性膠芽腫)を比較したもの。同様の方法は他の種類の細胞でも有効に機能すると考えられている。

 現在マウスを使った研究が継続されており、良好な結果を得ているという。今後は人間の癌患者による臨床実験の実現を目指す。
 
発表試料